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にげみち。

「ichiei」の雑文置き場。最近、短歌に凝ってます。

キャラクター案 

水の密度1.0、たゆとう日々のなかに俺はなにかを置き忘れてきてやしないか? 忘却を怖れる。獲得から喪失への転落を、無自覚の罪障を、細胞のバトンリレーはたしかに実行されているか? プラスマイナスゼロだとかキャパシティの最大値だとか日常の処理オチだとか、そんなたやすくすませたくない。希望は連続、非連続をごまかす技だけ上手になってゆく。

レディメイドの文章力なんざいらねぇぜ。
俺はオリジナルに生きてやる。
暴風雨の手前で強がる。傲慢な遊技。運命の特異点。
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「勇者」リドル 

辺境の村に名もなく生き、羊を追い、草をむしる、そうしてただ朽ちゆくだけであった彼女が、ある日ふと気付く。
この世はひたすら滅亡をターンしているだけだということに。
旧式のレコードプレイヤー。ペーパードールが踊るの、紙であることをいいことに、軽やかに、軽やかに、スカートのプリーツの幻想がごとく、生きるものにはのぞむべくもなく甘美たる軽快。
そんなふうに破滅はやってくることを、ある日突然、彼女は知ってしまった。彼女が知れるぐらいだから、おそらく他のほとんどのものたちも知っていたのだろう。けれど、世界中が身に負っていた「知らぬふり」を彼女は着せてはもらえなかった。あたえられなかったスリッパといっしょ、それは生まれてくることすらできなかった。
かわいそうな、無知蒙昧のリドル!
愚かなことに、そして悲しむべきことに、彼女は世界を愛していた。世界を救いたいと思った。だから、出掛ける。世界の果てへ。果てがないなら、その先へ。地下の王の宝物庫へ。空の生成する無限ダンジョンへ。

‥‥救われる方法なんて、この世のどこにも、ありやしない。あるとしたらどこにもないところ、どこにもないところをつっきるためにはどこにもないものになるしかないのだが、彼女は羊飼い、そして今は勇者、たったひとりの。

だから私たちは彼女をこう呼ぼう、リドル、勇者リドル。あとでない冒険を運命づけられた、勇者リドルよ永遠なれ!
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