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あらすじみたい。で、自主没。1998年ものらしい。1000字はすこし超えてます。 みやとあやは双子だ。両親は差別しないためになるべく同じものを与えるようにしていたが、それでも手違いが起きたりもする。
ある日、親戚のおばさんが旅行のお土産として、みやとあやにスプーンとフォークを贈ってくれた。それらはとても愛らしかった。小さな二人の手にしっくり合うミニのくせして、持ち手の先には銀の鈴が取り付けられていて振るとリリリと虫の音のような微かな音がする、女の子なら誰でも手に入れたくなる品物だったのである。二人は自分のものに出来ることに大いに誇りを覚えた。しかし、問題はあった。スプーンとフォークは各々一つずつしかなかったのだ。どちらかがスプーンを取れば、残されたほうはフォークを取るしかない。
みやとあやは二人ともスプーンを欲しがった。刺すという野蛮な行為に使われるフォークより掬うという優雅な目的を持つスプーンのほうが己に相応しい気がしたのだ。お互い譲らず、引っ掻く噛み付くの騒ぎにまでエスカレートし、見かねた母親が「じゃんけんで勝ったほうが取りなさい」と一喝した。
あやはうめいた。彼女はじゃんけんが弱かったのだ。そんなの公平じゃないと言おうとしたが、みやがはしゃぎ始めたので結局何も言い出せず、渋々母親に従った。結果はやはりみやの勝ちだった。あやはみやのものになったスプーンを暗い目で見送った。
三日後の夜、家族全員が寝静まったあと、あやはこっそり寝床から這い出した。豆球の光を頼りにみやのスプーンを取り出すと、机の奥の自分しか知らない場所にしまい込んだ。翌朝、スプーンがないことに気付いたみやは、大きな声で泣きわめき家中をひっくり返して捜索したが、あやの秘密の隠し場所まで気が回らなかった。あやは泣きじゃくるみやを優しく慰めるその裏で、誰もいない場所でスプーンを眺めて罪を甘く味わった。
そのうち、みやのスプーンに対する執着も薄れていった。片割れのそんな様子を見ていると、あやも急激に冷め、そして数ヶ月たったある日、何処を探してもスプーンが見当たらないことに気付いたが、本気で追求しようとはしなかった。月日は流れて二人は大人になった。スプーン等何かの拍子にしか思い出さなくなった。それでもふと思いだしたあやは、みやにスプーンのことを覚えているか訊ねると、みやは好きだったんだけどなあ、と呟いた。
「なくなっちゃたものは仕方ないね」
あやは自分のものなら何でもみやに分けてやりたい気持ちになった。が、どんなに足掻いても、なくしたスプーンは返せない。