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にげみち。

「ichiei」の雑文置き場。最近、短歌に凝ってます。

2013/10/06 一首と一句 

あまりに遅れすぎてるので、超手抜きでいきます。

体温計振って なかったことにする三十七度八分のわれを/藤島秀憲『すずめ』
素朴だが切実な歌だ。たった37.8度(何故これがたったなんだろうね)では日本という国では、なかなか堂々と休みをとれない。だから「なかったことにする」。でも、この体温計は電子体温計な気がするなあ。水銀計とちがってふったって意味ないのに。まあ、どっちにしたって熱が下がるわけでもないんだけど。「振って」と「なかった」のあいだの空白が印象的、一瞬のためらいをよく表している。




宵闇のかたちとなりて牛がゐる(北澤瑞史)
俳句って牛の出番が多いな。というか、これは自分の知識の足りなさを露呈しているだけか。牛という動物の独得の詩情のせいかもしれない。けっこう大きい、農業の象徴、牛乳・牛肉・牛革とと生活にもなにかと使われる、のんびり、だから大きさのわりには「被害者」という側面がクローズアップされやすい、でも闘牛ってのもいるし、近い生き物のようででも遠い、少なくとも町中にはなかなかいない。なるほど、そりゃ使いやすいわなあ。くわえて俳句にとっちゃ季語でもないし。暗闇の中のぬっとした牛、ほんの少し哀しみのようなもの(でも実際にはちょっと違うもの)のような形をしてそこにある。
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