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自分、ナンセンスはどうにもいけません。1998/10/28。1000字小説。 私の部屋のカレンダーは、二ヶ月ごとに一枚めくるタイプ、つまり、一枚の紙には二ヶ月分の日付が一緒に書かれている。これが事の発端で、他はともかく五月と六月はいわば同居人の仲だというのに、とっても仲が悪い。
「私は五月なんです。五月といえば風薫るというくらい爽やか路線が定着しているのに、こんなじめじめしたやつと一括りにされるなんて」
「何言ってやがる。梅雨がもたらす雨は、農家の人たちには恵みの雨なんだぜ。おまえなんか、中途半端なことしか出来ないだろう」
「まあまあ、二人とも(二月か?)初夏どうしなんだから、手を取り合って仲良くすれば?」
「こんなやつと一緒にされるのはゴメンです」
「それはこっちの台詞だ!」
言うことを聞かないって点では、こいつらはよく似ている。
五月六月はお互いの欠点を、私に言わせりゃ欠点にもならない特徴を、あげつらってはお互いをなじる。
「五月、ゴールデンウィークなんて軟弱なものを抱えてるんだってな? なんでも今年は四連休だと? 休みなんてのは人間を堕落させるものなんだ。それを四つも連続させるたあ、なんて野郎だ」
「祝日とは心に豊かさを与える尊いものなのです。一つも祝日を抱えていないあなたに、言われたくはありませんね」
「うるせえ、ウドの大木、大の月!」
「中身のないおちびさんよりはマシです、小の月!」
最初のうちこそまあまあお姉さんをやってた私だが、そのうち馬鹿馬鹿しくなって放っておいた。そしたら、こいつらってば増長しやがって一日中罵り合うようになってしまった。
こうなるとうるさくって寝られやしない。単なるカレンダーの一枚が人間の安眠を妨害するとは何事か。しかも、あんたがたの出番ならともかく、今はまだ一月なのよ。迫力に負けてしょぼんとしている、一月くんが可哀想すぎるっての。
私は強硬手段をとった。カレンダーから五月六月のページを剥ぎ取ると、これならもう絶対顔を合わせないで済むぞと、半分に破ったのだ。しかし、私の怒りは最早この程度のバイオレンスでは収まらない、その勢いのままもう一つ二つ破き、彼等の抗議の声を無視して、くず箱に突っ込んだ。
……というわけで、今年の私には五月と六月がない。一年が十ヶ月だなんて損した気分だが、誕生日が五月だったことを考えると、一つ年をとらなくてすんでラッキーだったかもしれない。