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鳴らしたあとの音叉の真似をして舌をぶるぶる震わしていると、どういう力の加減だか口内のどこかにあたった舌の先がぽろりと外れて机に落ちた。正直グロテスクな物体であることを覚悟して見据えたが、意外にきれいなものだ。まだ何にも触れたことのない少女の唇のように、どこにも皺は寄っておらず血色のいい艶をしている。指でこねてみると、あまり弾力はなく、いかようにでも形を変える。発色のいいスライム、という形容が適切だろうか。こんなものが自分のなかに、しかも口の中みたいな不用心な場所にあったなんて信じられない。ちょっともったいない気もしたけど、どうせ後生大事にとっておいたところでいつか腐るだけだろうと思ったので、屑箱にむかって放り投げた。それは一度の投擲で、きちんと廃棄される。どんなにうつくしく見えても、つまりはそれだけの価値しかないものだったのだろう。どうせ私の舌だもの。