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月光挿話とおなじ時期に書いたものらしい。もうすこし発見できました。
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もしもイブをつくったあばら骨がプラスチックだったら、いったいどんな女になっただろうか。友人とそんな談義になった。
イブの子である僕らは、もうすこしだけ、完璧な害毒になれただろう、と結論付けて、ハーブティーを飲みくだす。
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アップルパイは形状からしてすでにリンゴではないがフィリングの大部分はリンゴを原料としているわけだし食する人間のほとんどもリンゴの味をもとめているのだからやっぱりリンゴなのかもしれないが友人のなかにはフィリングよりもパイ生地ののほうを愛するものもいたのでそうなるとアップルパイの存在価値とはなんだろうとパイなのかリンゴなのかそれともべつのなにものなのか――
「アップルパイに決まっているだろう」
「そうだね、お茶はどれにする?」
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月売りが月売りに来てツキ尽きかけた。
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今日も声が出ない。2、3日前に私の体を荒らしていった風邪は、喉に大きなひっかき傷をつくったようで、熱や咳はもうほとんど消えているけれど、ためしに『あー』と唄ってみると、『あぁあ゛?』と変化して、自分でも厭になる。小文字も濁点も、ましてやクエスチョンマークなんて、発音したおぼえはないってば。
そういう理由で、ここしばらく私は会話をした記憶がなかったのだが、それでも日常は滞りなく進行していた。家にこもりっきりの職業をしている関係で、もともと誰かと直接話すよりも、メールやファックスで意見交換をするほうが多かったせいもあるのだろう。気楽な一人暮らしだから、家族に心境をつたえる義務もない。買い物をするときも、目当ての品を手にとりレジにおけば、あとは首を振ったり振らなかったりで、どうにかなる。大袈裟なボディランゲージすら必要ない。
人を人たらしめるもののひとつがことばだと思ってたけれど、なくてもなんとかなるものなんだなあ。あ、ちょっと違う?
世界中の人が、私と同じ風邪をひいたら、どうなるだろう。益体もない妄想にひたりつつ、のど飴を口の中に放り込む。たぶん、その瞬間、地球は大きなくしゃみをした。