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おなかがすいたでしょう、といいながら、姉さんが縁側から庭に降りる。2年まえに植えた桃の木がようやく実をつけたのよ、たっぷりおあがりなさい。積もったばかりの真綿の雪を石より白い足で散らしながら、いちばん枝振りの優しい樹木に寄る。
「おかまいなく」
私の答える声は、外気に向かって朗と響く。すべての波状が雪へと姿を変える世界で、これだけがあとにつづく力を残している。ふと、気づいた。彼岸の食事を口にしたら戻れなくなるんじゃなかったかしら。桃をもいだ姉の手から淡紅色の果汁がしたたり、真白の大地に小さな穴がひらいた。
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某500字への初めての投稿。テーマ『食』でタイトルはつけられなかったのだけど、本当はこういうタイトルにしたかった。