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深夜――3時をまわっている。私は高速バスの車内、眠れない時間をすごしている。退屈。まぎらすために、けがれのない少女のように、夢想で暇をつぶすことにした。アスファルトで舗装されただんだんのすくない道路は、なにか大きな動物の血管。高速バスが赤血球なら、平和にただはこばれてゆく私は酸素原子のひとつぶかしら。とてつもなくおおきなゆったりとした生き物に寄生している、という概念は、わたしをどこまでもふかく安堵させる。ひとりではない、どころか、だれかにつつまれて生きられるなんて。とてつもない幸福な連想が、体の奥からわすれかけた眠気をつれてくる。おやすみなさい。三日月の舟を青も白もないところへ漕ぎ出した。