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果てしなく薄雪の色のひろがる花畑のまんなかに、ひとつだけしたたるように真っ赤な花が咲いたものだから、雪乃ちゃんと私のあいだでは「そこに死体がうわっている」という了承になった。夜更けに、ふたりで、掘りにゆく。祭具によく似たかたちのスコップをかわりばんこにふりまわしながら、明けの明星が小鳥の胸へかえる時刻までせっせとがんばってみたが、けっきょくなにもみつからない。なんだか無性に癪にさわったので、代わりに雪乃ちゃんを置いてゆくことにした。雪乃ちゃんは貝殻のようにあわい肌色の持ち主だったけど、額を半分にして噴きこぼれる血潮は、他の人とおなじ毒林檎の真紅だったから、私はとても満足した。赤い花には赤い死体が、やっぱり一番。
ところが雪乃ちゃんを埋めて数日後に、赤かった花がまわりとおなじように白くなっているのを見つけてしまう。光彩の反射はなにかとそっくりだ、と、かんがえて納得した。雪乃ちゃんの裂けた脳天、石鹸のコマーシャルめいた白、あけてはいけないパンドラバックス・頭蓋骨。私は世界中の死体の行く先を理解すると同時に、自分のおろかさで最後の赤い花を失った事実を、真新しい夜が来るまで後悔しつづけた。